DIGIT通信journal

DiGiT通信Vol.53 -海外に目を向けると-

2019.11.06

 

第53回「海外に目を向けると」

健康経営の源はHealthy companyという1992年の本であることに触れましたが、これは当然日本で発表・刊行された本ではありません。日本でこの本の趣旨が普及するのに(健康経営研究会という団体が設立された2006年を普及期とするならば)約14年所要したことになります。そしてHealth companyが「人的資源の活用とストレス管理」という副題がついて翻訳・刊行されたのが1994年。この中でストレス対策が企業収益にとって重要であると警鐘が鳴らされてから、2015年にストレスチェックが施行されるまで約20年。

「先見経済」に人事制度の変遷を寄稿させていただいていますが、ちょうど国際関係を中心に書かせていただきました。「当社は内需だから」「中小企業には関係ない」というお話を、経営者の方からよく伺いますが、ストレス対策も組織の在り方も、海外との関係なしには成り立たないことは明らかです。問題はその時間的なギャップであり、認識の深さが関係します。一足飛びに課題を解決することは難しいでしょうが、現状を理解する試みは始めておくに越したことはないと、改めて思いました。

以下に「先見経済」1.日本の人事システムの変化、から第2回目の転載を致します。この原稿は8月に書いていますが、それ以降の環境変化は、これから先の時代が現代の延長線上にはないことを実感するにふさわしいものがありました(詳細は次回)。

1.日本の人事システムの変化

大正から昭和初期
さて時代が大正に入ると、日露戦争によって日本の国際的な地位が上がりました。しかし、経済状況は戦費国債の返済や、賠償金不獲得等により疲弊していました。その一方朝鮮半島とロシアという外国を、経済的に支配する動きを強めていきます。1910年には朝鮮半島を植民地化し、列強に肩を並べる国力を付けたと言えます。人事的な観点で見ると、第一次世界大戦の影響もあって工業化が一層の拡大が見られます。当然に労働力が極端に不足するようになりました。日本経済は疲弊している一方で、現場の労働力不足は常態化していた時代です。こうなると固定的な給与ではなく、雇用をつなぎ止めるための手当創設がラッシュしていきます。各種手当(物価手当、臨時手当、米価手当などもありました)は枚挙にいとまがなくまた、「長勤続が美徳」とされる年功序列が明確に打ち出されたのもこの時代です。

高度経済成長期
戦後は、朝鮮戦争による特需景気が起きました。戦争に対応するための特需なので、景気のけん引役は製造業です。ここに、工場中心の労働力構成と、現場での製造・組立経験を重視する年功序列賃金制度が確立します。年功序列賃金、定年退職制度、企業年金、財形制度、家族手当…これらの諸制度はこの時期に確立されたものです。そしてその大半は第二次産業向けに最適化された制度であると言えます。大量生産する製造現場には「熟練工」が必要です。現場での製造能力の高さによる大量生産と安定品質の確保、加えて現場での指導者的存在を一度に実現できる「熟練工」を抱えるメリットは、経営者にとって計り知れません。その存在はまた、未熟練工に、あと何年以内にこの技を身に付ければ今よりも良い生活ができるとい
う、初歩的なキャリアプランを描かせることもできます。

当然に政策もこれを後押しします。核家族化礼賛により世帯を分離し、これまで複数世代で使っていた家電品の消費を底上げするような政策が展開されます。三種の神器、マイカーといった消費を後押しする政策や言葉が飛び交いました。人事的には、モーレツ社員、企業戦士というと言われた時代でした。賞与は年4回、高金利の社内預金等の制度もありました。従業員確保のために、送迎用のバスや社内保育園等も用意されていました。社有社宅は、会社としての資産を増やす一方で従業員の福利厚生にも寄与しました。不動産価格も上昇の一途でしたから、会社の資産増強と従業員確保という、まさに一石二鳥の人事制度でした。

このような時代にあっては、イノベーションは1つで十分でした。高学歴より低学歴で現場ができる人が求められ、一定年齢までの労働力確保を目的とした定年制度と退職時に手厚い退職金制度を導入しました。

しかしこのようなモデルは、産業の中心が第三次産業に移り、インターネットという産業革命が起きた時に崩壊します。その動きは、明治時代に農業から工業・商業へと労働力がシフトした時代と、うり二つなのです

~以下次号~

執筆者:三浦才幸

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